今日は、年に一回の健康診断だった。
私は35歳以上なので、生活習慣病と婦人科検診(子宮がんと乳がんの検診)も一緒に行う。
仕事を休んで、約束の午前10時に派遣会社指定の場所に向かうと、
既にたくさんの人たちが服を待合室で順番を待っていた。
検査項目は、尿検査、身長、体重、視力検査、血液検査、聴力検査、
心電図、乳がんエコー、胸部レントゲン、胃部X線、子宮がん、乳がんなどである。
子宮がんの検診は、去年初めて行ったのだが、
その屈辱的なポーズに落ち込んだ。
下着を脱いで、足を広げて座るのだ。
このときばかりは、女性に生まれたことを後悔する。
検診するのは、おじいちゃん先生。
感情を込めず、機械的に処理している。
乳がんの発見方法について、レクチャーを受ける。
血液検査は、私の苦手な検査項目のひとつだ。
大学生の頃、血液検査をして、貧血になって倒れたことがある。
身体の中に注射器がささることを想像すると、急に力が抜けて来るのだ。
だから、熟練した看護婦さんでなければ、私の血は取れないだろう。
採血が苦手なので、私はいつも、ベッドの上に横になって採血してもらっているのだが、
今回は気合を入れたら大丈夫だった。
きっと、人よりも想像力が豊かなのだろう。
思考を止めてしまえば何とかなるということが、良くわかった。
婦人病の検診があるということで、
木曜日の午前中は、女性ばかりだったのだが、
そんな中にあって、女性という一つの性に片寄り過ぎている人がいかに多いかを思い知らされた。
女性という性に片寄り過ぎている人は、言い換えるとつまり、
男性性が足りていないということなのだが、どこか色気がある。
男性性が足りている人たち、すなわち、男性という一つの性に片寄った人たちは、
そういった色気に惹かれて行くのだろう。
要するに、ないものねだりなのだ。
バリウムを飲む胃部X線は、今回もなかなか辛かった。
おなかがふくれそうになるほどの発砲薬を飲まされ、
すぐにバリウムを流し込んで、ゲップを抑える。
ゲップを我慢してくださいと言われながら、レントゲン台に乗る。
何度も横になったり、寝返りを打ったりしながら、
レントゲン写真を撮られ、撮影が終わる頃にはバリウムの白い液体が、
口のまわりにぺっとりついている。
バリウムを外に出す下剤を飲んで、服を着替えて、その場所をあとにする。
そこには、去年来たときも世話をしてくれた人が何人かいた。
彼女たちは、毎日のようにそこで検査を行っているのだろう。
それが彼女たちの仕事なのだ。